日本ダービー歴代優勝馬はなぜ勝てたのか?運命を分けた要因をパターン別に分析

すべてのホースマンが目指すダービーの栄冠。

これまで数々のドラマが紡がれてきました。

最強馬による最強の証明。あるいはまさかの大波乱。

だけど振り返ると「勝つべき馬が勝ったのだ」と妙に納得してしまうのもダービーの不思議なところです。

そしてこのレースの1着と2着の差は、例え数センチであっても大きく運命を分岐させるのです。

今回は過去10年のダービー馬は何故ダービーを勝てたのか、大局観的に考えてみたいと思います。

運命を分けた僅かな差日本ダービー過去10年の勝ち馬と勝利の要因

勝ち馬は怪物。勝つべき馬が勝ったダービー

2011年の勝ち馬オルフェーヴルは鬼神の如き狂気の走りで競馬史に永遠に残る名馬。

そのオルフェが苦しんだのもダービーでした。泥の舞う不良馬場、直線では進路を塞がれ体当たりを受け危うい姿も見せます。

しかし、まさに「馬群をこじ開けて」先頭に立つとウインバリアシオンの追撃を凌ぎきり3冠に王手。

目撃者を唸らせた王者の走りでした。

そして2着ウインバリアシオンはオルフェーヴルさえいなければ・・・。生まれた年が悪すぎました。

2015年のドゥラメンテも役者が違いました。

しなやかに抜け出してキングカメハメハ、ディープインンパクトの残したタイムを上回るレコードでの快走に、世代最強を疑う者はいませんでした。

上記の歴史的名馬2頭とは少し意味合いは異なりますが、2008年に勝ったディープスカイもこのカテゴリーに入れたい馬です。

結果論にはなりますが出走メンバーの中でその後もG1戦線で活躍したのはディープスカイくらいでした。勝たなければいけないレースだったのです。

レースぶりも大外を突き抜ける横綱競馬で文句をつけようのない圧巻の勝利。

完成度で上回った

ダービーを勝利するには3歳の5月に一番強い馬である必要があります。

2016年に勝ったマカヒキはタレント揃いの同世代のライバルを完封してダービー馬になりました。その後世代を背負うまでに成長したサトノダイヤモンドはこのとき僅かな差で敗れたのです。

逆にマカヒキはダービー以降精彩を欠いています。物をいうのはダービー時点の完成度ということでしょう。

2012年ディープブリランテも高レベルな世代に生まれました。

岩田騎手の好騎乗が語られることの多いダービーでしたが、ゴールドシップ、ワールドエース、ジャスタウェイなど錚々たるメンツを制したのはディープブリランテの完成度の高さがあってこそです。

悲願のダービー奪還へと、運命が導いた

ときに起きるドラマチックな結末は、あらかじめシナリオが決まっていたかのようです。

2014年ワンアンドオンリー。それまでダンスインザダーク、ハーツクライ、ローズキングダム、リーチザクラウンなど錚々たる出走馬を送り出しながら4度、2着に甘んじてきた橋口調教師は「ダービーは一生勝て無いかもな」と諦めかけた時期もあったそうです。

しかし定年まで1年半、いわば橋口師ラストチャンスのダービーで、皐月賞馬イスラボニータと火の出るような叩き合いを制しワンアンドオンリーは1着で駆け抜けました。

何よりも欲しかったダービーの1着(ワン)と何にも代え難いダービートレーナーの称号(オンリー)を届けたワンアンドオンリー。

同馬はそれから長いスランプに陥りましたが、まるで橋口師をダービートレーナーにするために一世一代の走りをしたかのようです。

出来すぎた筋書きといえば2013年のキズナも負けていません。

不振を極めて苦しむ武豊騎手でしたが、久々のダービー一番人気。

前が止まらない馬場でしたが覚悟を決めた最後方追い込み一気でエピファネイアをゴール前ギリギリで差し切って見せました。

もし負けていたら、キタサンブラックの背で輝く現在の武豊ジョッキーの姿はなかったかもしれません。

割れんばかりの観衆が天才の復活を喜びました。そしてキズナという名前に運命を感じた人も多かったはずです。

条件や展開を味方につけた

東京の2400mという舞台との相性や当日の馬場状態、ペースへの適正も問われます。

2007年ウオッカは牝馬ながら歴史的な勝利を納めましたが、東京競馬場でその後G1を勝ちまくったことからも、東京への適正が高かったといえるでしょう。

2010年エイシンフラッシュは超スローペースのなか、上がり3ハロン32.7という極限の切れ味で栄冠を手中にしました。

フラッシュもその後天皇賞秋で再び上がり3ハロン32.7を繰り出し優勝しました。

スローペースの府中競馬場に無類の強さを発揮する馬は、空前の好メンバーが揃ったダービーでも輝きました。

また、2009年ロジユニヴァースは超のつく不良馬場を一頭最内から泳ぐように抜け出して他馬を寄せ付けませんでした。大雨のダービー、まるで遊んでいるかのように泥を上げて走り行く姿は、不良馬場の申し子。

混戦模様の2017年ダービーですが、今年はどのパターンの年になるでしょうか。

悲願のダービー制覇が見たい!

この記事を書いたライター

キーユ
キーユ死にかけの不死鳥
1985年生まれ。
ギャグ記事やWEB、音楽、ゲーム、育児などを書いています。
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著書:新種発見!69匹の愉快な生き物図鑑

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