前2回に続き、今回はSKY-HIのインタビューを引用しながらポップソングに対しての思い入れを考察してみたいと思います。
HIPHOPをルーツに持つポップスター
SKY-HIの多くのインタビューにおいて、リスペクトしている(ライバル視している)アーティストとして名前が挙がるのは星野源、SEKAI NO OWARI、RADWIMPS、ゲスの極み乙女、など現行音楽シーンのど真ん中、頂点付近にいる人たちです。
アルバムを聴いていても、特に2枚目のカタルシス、3枚目のOLIVEにおいてはポップフィールドでこれらのアーティストと互角以上に戦うための曲作りをしているのだと感じます。
MCバトルで名を上げて、ビートジャックでネット上でバズを起こし、Flaotin’Labで商業的にも結果を出してHIPHOPアーティストとして一定のプロップスを得ていながら、メジャーデビュー後に選んだのは「HIPHOPをルーツに持つポップスター」としての表現でした。
このような前人未到の挑戦をする経緯について「水の上を歩くように簡単さ」の中でこのように語っています。
メジャーデビューしたころって、順風満帆って感じに見えると思うんですけど、やっている側の俺としては全然そんな感じはなかった。
「ヒップホップシーンの中でこれだけみんなの注目が集まった状態でも、こんなに世の中には届かないんだ」とか思っていたんですよ。
俺は10年弱くらいかけて蒔いてきた種を収穫したころだったけど、ロックバンドの2年とかの活動の方が遥かに実りがでかいのを見ながら、俺はいろんな気持ちになっていたんですよね。
「このままじゃ駄目だ。多分このままだと何となく世界の中のアジアの日本で、ヒップホップが好きな人たちにだけ、あいつ頑張ってるよねって言われて終わっちゃう」って。「AAAというものをちゃんとやりながら、好きな音楽も趣味でやっていて、それがちゃんと、すげえよくていいよねって言われるのも絶対に違うぞ」と思っていたし。
スタートはヒップホップの人たちが「アイドルのくせに」「AAAのくせに」みたいのをずっと言っていたわけですけど、ヒップホップが追い風になって外の世界に出てみたら、また向かい風が来たんです。
このような思いがあるからなのか、ポップソングのクオリティやチャートの結果にもとてもこだわっていることが伺えます。
では、ポップであることとはどんなことなのでしょう。SKY-HIの言葉を引用していきます。
ポピュラリティを得ること
“ポピュラリティを得る”ってことをあらためて考えて。それはポップってことなんですけど、ポップっていうのは楽曲が爽やかだったり弾けるものがイコールじゃないっていうのは昔から思っていて。ジェイ・Zは本当にポップだな、ポピュラリティを得ることをやっているなぁって思うし。ジャスティン・ティンバーレイクも非常にポップだなぁ、と。ポピュラリティを得ることを自分で生み出して、使って、勝ち得てる。
日本に目を移しても、サザンオールスターズだったり、桑田さんだったり、「すげえポップだな!」って思うし。どんな振れ幅で行ったときも、常にポピュラリティをちゃんと得るように、そこ意識してやってる。それサザンでもそうだし、ミスチルでもそうだし、SEKAI NO OWARIもそうだし、Zeebraだってやっぱりそうだし。すげーポップだなって思うんですよね。だからポピュラリティを勝ち得たと思うし、世の中の人がZeebraって言ったらわかるとか、KREVAって言ったらわかるのは、そういうポップがそれぞれの形であったからだと思うし。
ポップスっていうジャンルが音楽的にあるから混同されがちだけど、ポップであるってことと、ポップスを作るってことは全然、別問題の話で。出典:http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=2532532&media_id=51
ポップ三原則
最近教えてもらったんだけどポップ三原則っていうのがあって。「フィロソフィー」「インテリジェンス」「エンターテイメント」。わかりやすく、おもしろく、深く。僕は常に自分が作る音楽をフォローアップしてくれる人と向き合っていたい。それが「SKY-HIの音楽を聴こう」「ライヴに行こう」という選択をしてくれた人に対する責任。フォローアップしてくれた人の選択を正解すれば、自ずと自分の正解になっていく。それを繰り返して、世界で一番正解の数を多くできたらマイケル・ジャクソンとかジョン・レノンとかと勝負できたことになるんだと思う。すごく階段が長いからずっと頑張んなきゃいけないですよね。
出典:https://abematimes.com/posts/1062670
「ポップは階段を下りたところではなく、昇り切ったところにある」
ポップソングを作るのって、心身ともに疲れるんです。ホントに研ぎ澄ませてやらないといけない。でも、それを怠ると、値札のついてない状態のものに無理やり値札をつけることになりかねない。
音楽的にエッジーで技術を要される作品は、これからもずっと作り続けると思いますね。前衛的でスキルフルなもの — 早口ならスキルフルってわけではないことを伝えられる、ちゃんとしたスキルフルなもの — は作っていく。それは、ポップって階段を登りきった先にしかないからだと思うからなんです。
スキルも精神も突き詰めて、突き抜けないと、ポップ・スターにはなれないと思う。ポップ・スターにぶっ飛んだ人が多いのは、それが理由だと思うんですよね。表現や方向性を突き詰めて、階段を登っていったことで、結果としてぶっ飛んでいったというか。だから、ポップであることはエッジの追求と繋がると思うんです。
マイケルも“キング・オブ・ポップ”と言われるのに、誰も追いつけないぐらいオリジナルですからね。そういう階段を登りたい。
出典:https://amebreak.jp/interview/4591/3
https://www.cinra.net/interview/201602-skyhi?page=4
ポップスターとしての覚悟
生きることを隣に携えて、愛することをちゃんと歌おうと思ったから。そういう曲が「ジョン・レノンやマイケル・ジャクソンと比べたらちょっと……」って思わせたらリスナーに失礼だと思うんですよ。だったら最初からそんな壮大なテーマを選ぶんじゃないよってなると思うんですよ。その責任が持てないんだったら、トラップミュージックでお姉ちゃんとファッションのことを歌えよっていう。でも、俺はメッセージに責任を持とうと思ったから。自分の歌にちゃんと説得力が宿るように、自分の人生をしっかり生きなきゃいけないんですよね。
ポップスターとしてしっかり覚悟と責任を持つことって、ラッパーとして最上の責任を持つこととイコールなんだなと思って。
出典:http://realsound.jp/2017/01/post-11008.html
このような言葉を踏まえて思い出す僕の個人的な出来事があります。
何年か前に久々に地元の女友達に会った時のことですが、そのコはHIPHOPなどに特に興味のないキャバクラで働く女の子なのですが音楽の話題になったとき「昨日ラジオでSKY-HIっていう人を聴いたんだけど、初めてラップの曲でかっこいいと思った」って言ってたんです。
もちろんSKY-HIがAAAのメンバーということも知らないコです。
音楽やHIPHOPに興味がない人の心にも響かせる。それがポップになるということなのかもしれません。
歌詞の魅力
ポップスとして強度がある曲を作るためには歌詞にも普遍的かつエッジの利いた表現力が必要となるので「歌詞ヂカラ」にもこだわっているとSKY-HIはインタビューで答えています。
実際、SKY-HIの歌詞はとても面白いので歌詞カードを見ながら曲を聴くのがおすすめです。
一見ラブソングの歌詞でも別の捉え方ができたり、伏線があったり、アルバム内の他の曲と関連があったり。
たくさんのギミックが仕掛けられていますし、歌詞一つ一つをとってもダブルミーニング、トリプルミーニングになっていたりするのです。
このあたりはラップ表現だからこそ可能にしている部分だと思います。
まとめ
という訳で、3回に渡ってSKY-HIの魅力を書いていきました。
今後もどのような進化を遂げていくのかワクワクして追いかけたいと思います。
ちなみに、おすすめのアルバムは3rdの「OLIVE」とSALUとのコラボアルバム「Say Hello to My Minions」です。
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この記事を書いたライター
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1985年生まれ。
ギャグ記事やWEB、音楽、ゲーム、育児などを書いています。
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著書:新種発見!69匹の愉快な生き物図鑑
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