MRが語る今後生き残るジェネリックメーカーと後発医薬品業界の将来性とは

元ジェネリックメーカーMRのキーユです。

先日元同僚の現役MRとジェネリック業界の現状と今後について話しました。

それを踏まえ、就職・転職先としてジェネリックのMRを検討しているあなたに向けて後発品メーカーに将来性はあるのか、そして未来に生き残る企業はどのようなメーカーなのかまとめていきたいと思います。

※挿入している資料画像は日本ジェネリック製薬協会の啓発資料からの出典となります。

ジェネリックメーカーはあと3年は追い風、その後淘汰が加速する

未来を予測するにはジェネリック医薬品業界の現状を把握することが重要ですが、ポイントは2つあります。

ジェネリックはまだまだ普及段階、あと数年は成長産業

メディアで取り上げられ、広く一般にも浸透しているジェネリック。実際医療の現場でもこの数年市場規模を増やしすごい勢いで普及してきました。

しかし、それでもまだ普及は半ば過ぎという段階です。

政府は2020年までにジェネリックの普及率を80%以上にするという目標を掲げています。

つまり国内で使用される薬の8割をジェネリックにするという計画です。

この計画目標に対し2017年に日本ジェネリック製薬協会(JGA)が発表した数量ベースのジェネリックのシェアは65%

まだ15%もの成長の余地があることになります。単純に年10%以上の成長が見込める産業と考えると、こんな業界他にありません。

日本の国家予算の4割が医療費

2017年の国家予算は30兆6873億円です。

そのうち医療費が11兆7685億円。前年から2200億円以上増えて国家予算に対して38.9%の割合ということになります。

ちなみに国民医療費は2016年時点で41兆円を超えており、このうち社会保険として国が負担する金額が11兆円というわけです。

高齢者社会が極まり、日本という国自体も保険組合も医療費だけで財政破綻の危機すらあるのが現状といえます。

国は医療費を削減したい→病院や薬局は従わないと収益減→ジェネリックが売れる

そこで増え続ける医療費を抑えるため厚労省が打ち出している数々の指針の一つが事故のジェネリックの普及策です。

ジェネリックを推進するため、厚労省はガイドラインを定めルールを改定しました。

ざっくりいうと、病院や調剤薬局がジェネリックを使わないと損をする仕組みを作ったのです。

調剤薬局に置ける点数の変更、DPC指定病院でのジェネリック推進などは耳にしたことがあるかもしれません。

こうした国のガイドラインを受けて、つい数年前まで30%にも満たなかった後発医薬品が爆発的にシェアを増やしているというわけです。

そしてこの流れはしばらく続くと思われます。2020年度の目標が80%とはいえ、欧米では90%を超えている国がほとんどですので、日本も追従するはずです。

80%、90%という数字は特許が切れた医薬品は軒並みジェネリックに変えていかなければ届かない数字と言えます。

そしてこうした流れを追い風に受けるのがジェネリックメーカーです。

ジェネリックメーカーも生き残りを賭けた戦いが始まっている

追い風が吹くジェネリック業界。

では、ジェネリックメーカーはどこの会社もウハウハなのでしょうか?

決してそんなことはないと断言できます。

ジェネリック医薬品を販売する企業は30社以上あります。

特許が切れの医薬品が登場するとこの30社がこぞって販売します。同じ効果効能、成分にも違いのない製剤の市場を別々の会社で奪い合うことになります。

こうなると熾烈な値引き合戦、営業合戦が繰り広げられてることは想像に難しくないかと思います。

ジェネリックメーカー各社の差別化と戦略

すでにジェネリックメーカーのパイの奪い合いは、いくつかのフェーズを経ています。

・値段での戦い

・知名度の戦い

・営業力の戦い

・卸売業者とのタイアップ力での戦い

・製剤工夫の戦い

各社これまで様々な差別化を図り、シェアを奪い守らんと戦略を打ち立ててきましたが、現在次の段階に突入していています。

M&A、合併、撤退など業界再編のフェーズです。

例えば業界最大手の沢井製薬は2017年4月にアメリカのジェネリックメーカー「USL」を1155億円で買収したと発表しました。

また、国内の全製薬企業で売り上げナンバー1である武田薬品と、ジェネリックで世界最大手の巨大企業イスラエルのテバファーマとの提携というビッグニュースも業界激震です。

逆にジェネリック市場からの撤退を決定した企業もあります。

このような例が示すとおり、大手企業ほど先を見据えて合併や提携、M&A、事業再編に着手し始めているのです。

淘汰の時代が始まっていると言い換えてもいいでしょう。

では、そんな激動を生き残るのはどんな企業でしょうか。

就職先としてのジェネリックメーカーという観点で考えてみます。

生き残るジェネリックメーカーとは

とある医療コンサルの方の見解では現在30社あるジェネリックメーカーは業界再編を経て10社ほどに絞られていくとのことでした。

僕もほとんど同意見です。そして生き残るのは代わりのきかない唯一無二のメーカーだと思います。

では、優位なメーカーとはどんな企業でしょうか。

オーソライズドジェネリックを持つメーカー

ジェネリック医薬品にはオーソライズドジェネリック、通称AGと呼ばれる製品があります。

前述したとおり、30社以上も同じ薬剤を販売するのがジェネリックメーカーですが、有効成分や成分含量などは同じでも生産方法や添加物の種類はメーカーごとに若干の違いがあります。

生産効率であったりコストであったり特許の関係であったり、要因は様々です。

そんな中、新薬と全く同じ製剤、生産ラインを用いて作られた薬がオーソライズドジェネリックです。

例えば第一三共は自社の新薬のAGをグループ会社である第一三共エスファから販売しています。

AGのメリット

医療機関、患者様からの信頼感が抜群

先発品と全く同じと言う点で、AGは医療機関からも患者さんからも絶対的な信頼を得ることができます。

半年先に販売できる

AGには180日間の独占先行販売期間が与えられます

同じ成分が一斉に売り出されるジェネリック市場に置いてこの半年のアドバンテージはあまりにも大きいのです。実際AGを販売するメーカーは大抵シェア1位を獲得しています。

このように、AGを扱うメーカーは圧倒的優位な立場となります。

薬剤ごとに新薬メーカーが子会社に販売委託するパターンと、提携によって販売するパターンがあるので就職・転職先候補を企業研究する際は、今後発売予定の製品にAGはあるのか、ライバル企業はAGを出してくるのかなども調べてみることをオススメします。

新薬メーカーのグループ企業

上記のAGにも関連してきますが、新薬メーカーの傘下に入っているジェネリックメーカーは今後も安泰である可能性は高いと思います。

豊富な資本力とノウハウを持つ先発メーカーの参加というだけで有利ですしブランドがモノを言う業界なので無名メーカーに比べ製品も売りやすいでしょう。

少なくともM&Aの対象にされることはないでしょう。

第一三共エスファ、明治、エルメッドエーザイ、日本ケミファなどがこれに当たりますが、当然求人も少なく倍率も高いと予想されます。

製剤工夫を追求しているメーカー

ジェネリックメーカーの中には差別化のために錠剤を飲みやすくコーティングしたり、製品名やパッケージを見やすくしたり、新しい投与経路の製品を作ったり、ゼリー状の製品や口腔内崩壊錠を作ったりと製剤を工夫しているところがあります。

ユーザー目線にたったこのような試みは市場からも歓迎され「先発品より使いやすい、見やすい」と言う声に繋がります。

こういった試みは独自の強みになるので製品も売れます。

例えば東和薬品は飲みやすい製剤を作ることで存在感を示していますね。

海外展開を視野に入れているメーカー

日本の市場だけでなく、海外を視野に入れるメーカーも今後増えていくのではないでしょうか。

例えばアジアは今後市場が成熟してくと思います。戦略の中に海外展開がある企業は淘汰の波にも抗える可能性が高いのでは。

後発品以外にも注力しているメーカー

例えば海外のメーカーと先発品の委託販売契約を結ぶなど、後発品以外に着目している企業も面白いと思います。

ただ、こういった情報は表に出にくいのが難点ですね。

原薬を製造しているメーカー

医薬品の主成分となる原薬。ジェネリックメーカーは大抵原薬製造は他社に委託していますが、陽進堂や大原薬品といった会社は製品によっては自社で製造しています。

これは安定供給面と製剤への信頼性でプラスに働きます。

しかし逆にM&Aの対象として狙われやすいのでは、とも思えるので難しいところです。

まとめ

以上、今後生き残るジェネリックメーカーの考察でした。

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MRヘの転職はエージェントサービスを利用すべき

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MRは配属されるエリア、支店、上司によって働きやすさはガラリと異なるのでいくらネットで会社の評判を調べても意味がありません。

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リクルートエージェント

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この記事を書いたライター

キーユ
キーユ死にかけの不死鳥
1985年生まれ。
ギャグ記事やWEB、音楽、ゲーム、育児などを書いています。
記事制作やレビューのご依頼お待ちしています!ツイッターかお問い合わせからお気軽にご連絡ください。
著書:新種発見!69匹の愉快な生き物図鑑

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